民子が田島に段々、心を許していくのはわかるのんだけど、これまでの高倉健の映画を考えると、途中でハッピーエンドでは終わらないだろうなあと思った。そこがまた見ていて良いのだけれど。アメリカの映画みたいに抱き合ったり、キスしたりする場面はない。田島がここは何か民子に対して、思いを伝える場面だろうというときでも、「じゃあ」とか「おやすみなさい」でどこかへ行ってしまう。ずっと無表情だし、民子が襲われてもすぐには助けないし、いきなり家に泊めてくれと言うし、よく考えたらむちゃくちゃだ・・・。いやでもそこが高倉健の良さだと言いたい。
草競馬が終わってレースに勝った場面くらいしか、田島は笑っていないんだけど、2ヶ月間楽しかっただろうなあというのが伝わってくる。
終盤、田島が出て行くことを告げた後、田島は馬小屋に戻る。民子が寝ているともう一度訪ねてくる。その時、民子は田島が「やっぱりここにいる」と言ってくれるかもと期待したのではないだろうか。玄関の引き戸を開けたときに、すぐに「中に入って」と言っていたから。
高倉健の鍛え上げられた労働者の肉体も見所だ(そっちのけはない笑)。後で知ったのだが、当時49歳だったそうだ。全然そんな風には見えないし、民子と武志の前で、馬に乗って、これでもかと男を見せつけてくる。