not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

新書「非社交的社会性 大人になるということ」を読んだ感想

第一部は哲学の話が多く難しかったので、第二部「こころ優しく凶暴な若者たち」だけを読んだ。

筆者は大学で教鞭をとっていたこともあったが、辞めて個人的に哲学を勉強する塾を開講している。筆者は過去の著作で、日本は察する文化を重要視する傾向にあるから、理詰めで対話を続ける「語る文化」への転換が必要だと述べている。

しかし筆者は言いたかったことがうまく伝わらなかったことを嘆いている・・・。

p159
私が言いたかったことは、言葉を文字通り取らず、言葉の裏を読み、状況を察することが文化の弊害であるが、それは察する能力をあり余るほど具えている人に向けられている。

哲学の塾に来る人は、社会にもまれて一般常識が備わっている定年退職者もいるが、一方で引きこもりだったり、ニートだったりと他者との交流を通して、一般常識を学んで来なかった20代後半の人もいる。この本のおもしろさは、その教えを真に受けて、ちょっとヘンテコな聴講者が集まったことである。例えば講義の変なタイミングで質問したり、相手を打ち負かすことに快感を覚えているのか苦情のメールをしつこく送ってくる人がいたり。受講料未納問題とか、目上の人に対する礼儀についてだとかいろいろ。

世の中の不条理や言っていることとやっていることが違うこと、古い慣習を批判して、ゴーイングマイウェイするのは誠に結構なことだが、ちゃんと周りを見てすることが大切だと思った。自分が必ずしも正しいとは限らないと思うことは、簡単なことではないが、落ち着いて行動したほうがいいよなあと感じた。