not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

死んだ母と同じ人を好きになってしまう17歳女子高生(原田知世)を描いた、映画「早春物語」

粗筋

高校2年生の瞳(原田知世)は自身が所属する写真部の展覧会の準備のために、鎌倉を訪れていた。そこで桜の木を撮影しようと思ったら、車が邪魔で撮れない。車の持ち主である梶川は車をどかす。梶川は上司の見舞いのために鎌倉まで来た商社マンだった。梶川は帰り際、渋滞に巻き込まれて、瞳に抜け道を教えてもらう。そのお礼に蕎麦を食べに行く。瞳は周りの友達が恋人を作り始めた焦りから、大人に見られたいと思い、20歳の大学生だとウソをつく。梶川は自分の会社の近くにも、美味しい蕎麦屋があるから今度おいでよと伝える。

瞳は後日、その蕎麦に行き、梶川の会社を突き止めて、梶川を呼び寄せる。驚いた梶川は夕方から始まるパーティーに瞳を誘う。びびる瞳は梶川についていき、大人の社交界に緊張しながら参加をする。そこで瞳は、梶川が自分より年上の女性にモテモテなのを見て嫉妬する。

瞳の母は4年前に死んでおり、父は命日に仕事で返ってこなかった。父の再婚相手とはうまく行かない。母を懐かしむ思いから、古いアルバムをめくると、そこには母と梶川が一緒に写っている写真があった。母の昔の友達に尋ねると、20年前以上に箱根に行ったときの写真だと言う。梶川は母と付き合っていたが、商社の海外勤務が決まると、母を捨てて海外へ飛んだ。

再度鎌倉に見舞いに訪れた梶川は、瞳と以前会った場所に行くと、また瞳と出会う。瞳はドライブがしたいと言い、箱根に行く。そこで20年前と同じ構図の写真を撮ろうとする。梶川が昔を思い出すような素振りを見せるところ瞳はつっつく。その日の夜は、瞳はお酒を飲み酔って、しつこく梶川に過去のこと聞く。そして梶川は瞳にキスをする。初めてだと気づいた梶川は謝る。帰り際の車の中で、瞳は20年前の写真を梶川の鞄にそっと入れておく。

後日、会社に瞳は電話して、写真のことを梶川に教える。母がバイトしていた神田の喫茶店ランタンで、瞳は待ち合わせして、梶川をひどい人だと言う。梶川は昔のことだし、怒ることは瞳のお父さんやお母さんのことに対して失礼だと言う。

瞳は梶川が泊まっているホテルで梶川を捕まえて、一緒に部屋に入る。自分を抱いて母を思い出してと執拗にせまるも、梶川は君の母はそんな人じゃないと怒る。帰り、ホテルに行きたいと瞳は言ってハンドルに手をかける。軽い事故を起こしてしまい、二人は病院へ。かすり傷を負った瞳に梶川は過去のことを打ち明ける。瞳の母には親友がいた。一緒の看護学校の寮で、ランタンでバイトも一緒。そして親友の好きな人も梶川だった。梶川は海外勤務が決まった後、瞳の母に好きだという気持ちを伝える。それを知った親友は母の前で飛び降り自殺をはかる。一命を取り留めたが、それがきっかけで二人は別れてしまったのだ。瞳は再び梶川にキスを求め、キスをする。

梶川は会社をやめて心機一転、小さな商社に転職し、南米で働くことにした。空港で見送りに来ていた瞳を見つけ、好きだと伝える。これは好きだと言って、瞳を幻滅させて、梶川を過剰に美化することを防ぐためだった。そのことを前に、瞳の父に伝えていた。父からこのことを聞いていた瞳は大丈夫と言う。梶川は本当に好きになってしまったと言って二人は別れる。

感想


瞳がパーティーに行った日、カラオケで松山千春の「恋」を歌う。大人たちの前で17歳がこれを歌うところがおもしろい。17歳に見えず本当にいろんなことがあった女性という感じがする。瞳は瞳で背伸びをするために、この選曲をしている。

梶川という仕事バリバリの大人と青春真っ只中の瞳が出会うことにこの映画の醍醐味がある。人生経験豊富な梶川から見れば、瞳はかわいく見えるに違いないが、短期間で瞳がどんどん大人になっているのを見ると、最後は子どもにはとても見えない。

特に最後、空港から出て行く瞳は堂々として気持ちがよい。映画のセリフにもなっていた「過去のある女」っていうやつだと思った。


現在の原田知世。この映画見たあとに、これを見るとおもしろい。