not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」はソニーの歩み、内部事情がメイン

誤解を招くタイトルだと思いました。グーグルの仕事のことは、後半の一部しかなく、大半はソニーでの仕事のことです。メインはグーグルで仕事をするときに、ソニーでやってきたことが生きたということだと思いましたが、ソニーの歩み、内部事情がメインだと思いました。それはそれでソニーの歴史がよくわかったので、おもしろく読むことが出来ました。

ソニーは今で言うアップル、Googleだった

ベータによるビデオ開発のところは、ソニーがこれからの世界を作るんだという熱がひしひしと伝わってきました。また社内文化にも魅力を感じます。日本では珍しい役職名ではなく「〜さん」で呼ぶ文化、儲け主義の撤廃、品質の良いものを作ろうという意志などが挙げられます。

数多くの天才エンジニア

プロジェクトはチームで作るというのはよく聞きますが、ソニーでは良い製品を生み出すときに決まって天才エンジニアの存在があると思いました。PSX久夛良木さん、匿名での登場でしたがコクーン開発に出てきた元アップルのエンジニア、周りに嫌われて地方に飛ばされていた天才エンジニアなど節目と言える製品にはよく天才エンジニアが登場します笑。まるでマンガの世界みたいで、かっこいいと思いました。

ベータマックス著作権問題

1970年代後半ソニーはベータマックスによるホームビデオを開発し、ハリウッドやディズニーから著作権侵害で訴えられたという過去があります。この訴訟にソニーの盛田さんは真っ向から立ち向かいました。ホームビデオが家庭に広まることで、タイムシフト(放送時間に拘束されずにテレビを視聴できる)が起き、それはハリウッドやディズニーにとっても良い影響を与えることを主張しました。ビデオの「複製」ではなく、放送の「延長」であることを伝えたところがうまいと思いました。

ファインマンとチャレンジャー号の事故

筆者はカルフォルニア工科大学(カルテック)にソニー入社後、留学しています。カルテックはリチャード・ファインマンが最後に教鞭を取った大学でもあります。筆者が留学した頃は、ちょうどスペースシャトルのチャレンジャー号の事故が起きたときに重なります。ファインマン教授はその事故の調査委員会に属していました。調査の結果、部品に欠陥があることをわかっていながらNASAが隠蔽していたことがわかったそうです。NASAの官僚体制を批判し、人は騙せても自然は騙せないというメッセージを残したファインマンは素晴らしい科学者だと思います。