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プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

又吉直樹「火花」を読んだ感想

読書芸人が面白かった

アメトーークの読書芸人が面白かったので、ピース・又吉の「火花」を読んでみた。話の内容は芸人の話なので、芸人が好きな自分にとっては読みやすかった。主人公の徳永は又吉そのものなのかと思うくらい似ている。私小説なので当たり前かw

変顔の真樹さん

神谷の彼女である真樹さんに別の男ができて、神谷と徳永が荷物を取りに行くところが良かった。別れ際に真樹さんが、寄り目をして変顔を作って別れを言うところが特によく、真樹さんの人柄が表れていると思った。新しい男がいるので、怒るわけでもなく、また悲しそうな顔をしてしまうと、神谷にも悪い。関係のない徳永までにも悪い気がする。

題名の火花

題名の火花は、冒頭とラストで出てきた、熱海での花火のことを言っているのだと思う。一瞬輝いて散っていくことに、徳永の芸人人生を表しているようにも思えた。また花火は高く上がるので、それが師匠、神谷のことを表現しているようにも思える。徳永の前では神谷はずっと師匠であったけれど、芸人を続けられなくなって、火花のように散ってしまったと感じた。

オアシズの光浦さんが語り口がきどっていなくて良いというのは本当にその通りだと思う。冒頭はやや文学的な表現だけど、全体としては現代の口調なので読み易い。お笑い芸人の後輩と先輩の関係を描いているところが、夏目漱石の「こころ」で言うところの、私と先生の関係に似ているとい言っていたのはなるほどなあーと思った。

読書芸人ではいろんな本が紹介されていて面白かった。「火花」を知るきっかけにもなった。