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面白かった 百田尚樹「海賊とよばれた男」

面白かった

百田尚樹の「海賊とよばれた男」を読んだ。ボックス!が面白くなかったので、人気作家なら他の作品だったら面白いだろうと思い購入。結果、めちゃくちゃ面白かった。久しぶりに壮大なスケールの小説を読んだ感じ。

石油歴史小説

内容は国岡商店の店主、国岡鐵造の一生を書いている。国岡商店は石油を扱っている会社で、モデルはおそらく出光興産。国岡のパワフルな生き様も読んでて面白いし、石油を通してみる日本の近代史という見方も面白い。石油のために戦争をして、石油が足らなくて戦争に負けて、石油が普及して戦後復興したことがわかる。現代でも原油安のニュースが飛び交うのを見ると、まだまだ石油は重要な産物なんだなと思う。

小麦からスタート

神戸高商(今の神戸大学?)を卒業した国岡が就職したのは小麦を扱う酒井商会。社員わずか3人だが、商売のすべてを自分でやれることから酒井商会を選ぶ。大学の同期は財閥系商社に就職するものが多い中での決断だった。これは現代にもあるような大企業の内定を蹴ってベンチャーに就職する学生のよう。国岡は大学の同期からバカにされながらも力をつけていく。数年後台湾に行く船の上で、三井物産に入った同期に再会し、嫌味を言われる。しかし国岡はそれに動じず、大きな仕事をやりとげ、三井物産のシェアを奪う。たまらなくかっこいいw 流れずに信念を持って目の前の仕事に取り組むことが大切なんだなと思った。

独立

学生のころから石炭から石油の時代を予見していた国岡。酒井商会で働きながらも、石油に繋がりそうなことなら何でも食いつくようにしていた。縁あって石油会社の人と知り合う。またパトロン日田重太郎との出会いもあり、国岡は門司で国岡商店を立ち上げる。

オリジナルの油

油を販売する国岡商店は最初、見向きもされなかった。当時は多くの工場で油が使用されていたが、海外の石油会社が一様に卸していたものを使っていた。国岡は扱う機械に油が最適化されていないことに気づき、オリジナルの油を調合して、効率の良い油を作る。これがヒットした。

海の上で油を売る

しかし赤字が続く。次に目をつけたのが関門海峡を行き来するポンポン船。ポンポン船に燃料を販売することを思いつく。当時、門司の会社は下関で商売をしてはダメだったが、それなら国岡は海の上で商売してやろうと考える。燃料船をこしらえて、販売する姿は海賊とよばれた。

満鉄に凍らない油

海賊さながらの販売行為は上手くいく他の石油会社から嫌われてしまう。風当たりが強くなったので、次は満州へ目を向ける。満州鉄道に油を販売しようというのだ。満州は内陸だと、寒くて油が凍結してしまうという問題があった。国岡は凍らない油を開発して、見事契約を取る。外国で自分の商売を開拓する様は本当にすごいw

戦後のラジオ修理

戦後、日本が壊滅的なダメージを受けて、国岡商店はゼロからスタート。おまけにGHQの意向で石油を輸入できない。国岡は日本の復興を目指し、石油業ではない仕事を進んで取りに行く。その一つがラジオ修理だった。当時ラジオは国民に普及していたが故障しているものが多かった。新品を製造するよりも故障を直したほうがコストが安い。GHQも国民に情報を素早く伝達する手段としてラジオ修理を推奨する。国岡はラジオによって歌や演劇の放送が流れて、国民が元気になることを願った。それまで石油で食ってきた社員が四苦八苦しながら、全国でラジオ修理をするのが面白い。焼け野原からスタートだけど、社員の結束力が尋常じゃないので、成し遂げられたのだと思う。

タンクの底

GHQが石油輸入の条件に出したのが、旧海軍の燃料タンクの底に溜まっている油を浚えというものだった。タンクは全国8カ所にあり、その作業は危険を伴う。油の粘性からポンプは使えず手作業のバケツリレー。GHQからの難題だったが、社員の結束力でこれをやり遂げてしまう。すごすぎる。ラジオ修理と比べれば石油に近い仕事であったことが社員にパワーを与えたのだろうか。にしてもすごい。





タイプするのがダルくなってきた。

とまあ面白い小説だった。日章丸の完成の喜び、アマダンに着いた時の喜び、イギリス海軍の包囲網を抜けての帰還は手に汗握って読んだ。国岡は95歳で死んでしまうが、この小説では国岡が生まれた時から書いているので、国岡の生涯を追体験できる。特に日章丸引退の日に甲板で国岡が日章丸との思い出を回想するシーンは、自分も小説の世界で回想していたので不思議な気持ちになった。


こういう歴史と経済を扱ったノンフィクション(フィクションだけどw)小説、他にも読んでみたい。
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