not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

高野秀行「異国トーキョー漂流記」

TV番組「クレイジージャーニー」に出てくる高野さんの本を読んだ。とても面白かった。辺境ライターである彼は外国のヘンテコな風習や文化を書いた本は多いのだけど、本作のように舞台が日本という本もある。日本に来た変な外国人に書かれた話だ。

第一章 日本をインド化するフランス人

世界を旅して日本に行き着いたフランス人の話。最初は人生経験豊富なフランス人を高野さんは人生の達人として捉えていたけど、だんだんと彼らも人間ということを知っていく。そこが面白かった。

第二章 コンゴより愛をこめて

コンゴに「ムベンベ」という謎の生物を探しに行くという計画を立てた高野さん。コンゴではリンガラ語という現地語があり、それを日本にいる唯一のコンゴ人に教えてもらう。リンガラ語には文字がない。発音をローマ字に変えて学んでいくというw

第三章 スペイン人は「恋愛の自然消滅」を救えるか!?

今度はアマゾンに行く計画を立てた高野さん。そのためにスペイン語をスペイン人から教えてもらうことになった。当時付き合っていた彼女もそれに参加。関係がうまくいっていなかったから、彼女をレッスンに誘い、仲を取り戻そうと試みる。普通のOLの彼女は、高野さんが少し変わっていてオシャレということに魅力を感じている。それに高野さんは後になって気づく。最後は一緒にアマゾンに行こうと誘い、フラれてしまう。そのようなぐしゃぐしゃの関係を、干渉しないスペイン人の先生。先生の優しさを感じる話。

第四章 開戦! 異国人バトルロワイヤル

コンゴ人作家のドンガラさんが来日。ドンガラさんと日本を回る話。

第五章 百一人のウエキ系ペルー人

日系人であると嘘をついてビザを取ろうとしたウエキの話。でも最後までウエキで通す。

第六章 大連からやってきたどらえもん

大連で中国を教えてもらっていた先生の息子が日本に来る。しかし日本に帰化しそれを使ってカナダに移住したいという息子の話。

第七章 アリー・マイ大富豪

イラク人に仕事を斡旋する話。イラクのクエート侵攻直後だったため、イラク人の人になかなか仕事は見つからない。そんななか、大富豪のようにスーツでビシッと決めて、飲食店のバイトの面接に行くイラク人。。。w

第八章 トーキョー・ドームの暑い夜

スーダン視覚障害者の方の話。めちゃくちゃ頭が良く、東京外大に一般入試でうかる。点字なので漢字がわからなくても良いらしい。また大の野球好き。野球を一度も見たことがないが、ラジオを聞いて野球の解説者並みに野球に詳しい。しかし野球のボールに一度も触ったことがないという話は、ふいをつかれたような驚きがあり、目が見えないということを忘れさせてしまう、スーダン人の強さを感じた。