豆屋になろうってところがいい。
以前「限りなく透明に近いブルー」を読んで衝撃を受けた。若くて感性で書かれてる感じがよかった。第二作としての今作品はそのままの若さで書かれていたように思う。
フィニーが砂浜で立っているだけで綺麗だしフィニーの瞳に映る対岸は遠くのようで近い感じがした。対岸だから音もにおいもしないはずなんだがなんだか匂ってくるようで。
僕は時代小説というものを読んだことがない。司馬遼太郎なんて知らない。初めて読んだ時代小説のなかでは江戸でイマジンが流れていた。武士が「マジか!!」と驚いていた。こんな時代小説を読んでしまった僕は幸運にちがいない。
町田康の小説に良く見られる敬語を使った会話が突然タメ口になるところ。あそこに人間味が集約されている気がする。
僕も腹をふって踊りたい。
相変わらずユープケッチャなどのわけのわからないものを繰り出す安部公房には毎回驚きを隠せない。登場した人物の中でサクラが好きで主人公がデブだったからなんか好きになれなかった。
しかけの説明がちょいくどくてずーっと密室の船の中の話だからなんだか息苦しかった。
毎回同じ書き出しの短編集。「レイコはというひどく痩せた女が・・・」「僕は美術学校に通っていた」うんぬん。
セックス、ドラッグの自堕落な日々を書く村上龍が僕は好きなのでたいへんおもしろかった。これが自伝的な小説なんだろうなと思うと村上龍の10代20代の日々というのは今の自分では考えられないようなエキセントリックな日々であったのだろうと思う。
映画がたくさん出てくるのにほとんど見たことがないというのは残念でしょうがない。
「69」も合わせて読むとおもしろい。
名刺が文句を言ったりドアの下を通り抜けてどこかへ行ってしまうところを想像しただけで笑いが止まらない。体の中にある荒野にラクダが入りたがるのも当然だろう。法学者たちがかわいくみえておもしろい。数学者のセリフを書くところなんか書いてておもしろいだろうなと思った。
「魔法のチョーク」はイソップの話みたいでおもしろい。
予期された未来は予期された通りになるのか。安部公房が推理小説みたいなのを書いたのかと思いながら読んでいたが彼が書こうとしていた本質は鮮やかなトリックでもなく意外な犯人でもなかった。
あとがきに書かれた日常的連続感と未来の関係はわからなかった。