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プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

三浦友和・山口百恵出演「伊豆の踊り子」は忘れかけていたプラトニックな愛を思い出すのにもってこい!

川端康成原作の「伊豆の踊り子」が映画化されていたのは最近になって知った。なんでも二つあって、一つは吉永小百合、もう一つは山口百恵が踊り子役で出演している。(追記:2つ以上あったw)馴染みのレンタルDVDショップにはどちらも置いていなかったので、ネットの宅配レンタルを利用するしかないなと思っていた。しかし今日、何となく訪れた学校にあるDVD視聴スペースでこの映画が置いてあった。山口百恵出演のほうのものであった。驚いたのはDVDではなく、CDだったこと。中国で販売されたいたものらしく、中国語字幕と吹き替えが入っていた。吹き替えはうっとおしいので、ヘッドフォンの左右のバランスを左だけにすると日本語だけが聞けるようになった。

さて、本編のほうであるが、おもしろかった。てっきり美人な踊り子と男が恋愛する話だと勝手に思っていたけど、蓋を開けると全然違った。旧制一高に通う主人公は、伊豆へ一人旅へ出かける。そこで出会った旅芸人一同と一緒に旅をしながら、その中の娘、薫と主人公の関係を描いた作品だった。

主人公の名前が最後までわからないのだけど、物語は問題なく進んでいく。それくらい短い間の出来事であるし、薫のほうも旅芸人と書生が結ばれるわけはないと考えたので聞かなかったのだろう。本作では書生である主人公のほうが世間から身分が高いとされ、旅芸人が低いとされていた。主人公もそれが嫌で、旧制高校の学生帽を脱いで、新しい帽子を買って、書生だと思われないようにしていた。主人公は東京での暮らしが嫌になり、旅に出てきたのだろうと勝手に推測すると、薫のような純真無垢な娘はとても魅力的に見えたに違いない。日本のドラマ「ふぞろいの林檎たち」を最近見ているのだが、「ふぞろいの林檎たち」はこのようなところにある見方と全く正反対なものを表現していると思った。つまり「ふぞろいの~」では無名大学に通う学生が、エリートの世界を僻むというようなことである。

最後、主人公と薫が別れる際に、薫が何も言わないところが良かった。主人公も名残惜しいのに、以外にもさっさと船に乗ってしまったし、あっさり終わるのかな、悲しいもんだと感じた。手を振って別れるところや、主人公が「おーい」と叫ぶ所でやっとお互いの感情がはっきりと出たんだと思う。