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高倉健が国鉄マンとして青函トンネル完成を目指す映画「海峡」を見た感想

青函トンネルを開通させたトンネル屋の話。出演は高倉健吉永小百合三浦友和大滝秀治小林稔侍ほか。海の下を掘るという話だから、圧迫される感じ、閉所が苦手な人は見ないほうがいいと思う。この映画の見所は何と言っても、25年間の工事を描いているところ。人物の見た目が老けていくのは勿論、主人公阿久津(高倉健)の家庭の変化などの注目が行く。

気になったのはトンネル内で阿久津がサングラスをかけていたところ。暗くはないのだがろうか。あと開通したときのガッツポーズは健さんにしては珍しい感情の表し方だなあと思った。

印象に残っているシーンは2つある。1つ目は九州から来たトンネル堀りのプロ、源さんを阿久津が「おやじ」と呼ぶところ。それまではおやじさんと呼んでいた。しかし仲間の死を乗り越え耐えぬき、トンネル掘りを続ける責任者の阿久津を心から信頼するようになった瞬間だと思う。それまでは工事がうまくいかなかったこともあって、阿久津を信頼できないこともあっただろう。

2つ目はトンネル開通後、11年ぶりに酒を飲むところ。竜飛岬での自殺を阿久津に止められた多恵(吉永小百合)は25年間、阿久津に思いを寄せていた。阿久津には家族もおり、何しろトンネル堀り。仕事の邪魔にもなるし、付き合っても幸せになれそうも無い。だから竜飛を永住の地に決め、飲み屋で働いていた。仕事が終わり阿久津は11年ぶりに酒を飲む。工事の間は酒を断っていたからだ。静かに二回に分けて飲んだ後、また注ごうとする多恵の手を取り、止めさせる。そして今度は自分が多恵に酒を注ぐ。多恵は酒を飲んで上品に飲み口を指で拭いて、おちょこを阿久津に返す。ほんの数十秒のセリフなしのシーンだが阿久津から多恵への優しさが感じ取れる。