奈良の西の京にある薬師寺に行ってきた。現在、「東塔水煙降臨展」の真っ最中である。
・薬師寺の公式ページ
奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Site
お墓がない→お布施がない
莫大な修復費
薬師寺のお坊さんが、「東塔水煙降臨展」の展示スペースで展覧会の背景を説明されていた。なんでも1000年以上形を保っていた「東塔水煙」が近年の酸性雨の影響により、表面が溶けてきているらしい。それを修理するためにはたくさんのお金が必要だそうだ。
展覧会開催、フィギュア販売
お坊さん曰く、奈良のお寺(南都七大寺)にはお墓がないので、お布施を頂くことができない。それでは修復費を賄うことはできない。だから「東塔水煙降臨展」のような展覧会をこうして開催するそうだ。しかし展覧会開催だけでもまだ目標の修復費には到達しない。そこで、今回の展示会では海洋堂製「東塔水煙」のフィギュア(価格:3000円)を販売して、何とか修復費を算出しようとしている。
・海洋堂 フィギュア紹介ページ
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こちらの薬師寺 水煙のフィギュアは、薬師寺東塔水煙展と東急ハンズ梅田店のみの販売です!ただいま予約受付中でーす(^O^)/ pic.twitter.com/0yoGCdwfSK
— 東急ハンズ梅田店 (@Hands_Umeda) 2013, 9月 20
東急ハンズでも売っている(売っていた?)ようだ。
なぜお墓がないのか?
本来仏教は死者を弔うためのものではないから
薬師寺をはじめとした奈良の南都七大寺(興福寺、東大寺、西大寺、薬師寺、元興寺、大安寺、法隆寺)には墓がない。これらはすべて奈良時代に建立されたものである。当時、日本に伝来した仏教の目的は「経典」を研究することだった。もっと平たく言えば、仏陀が言っていることを理解することだった。
釈迦は弟子に死後の遺骸の処置を問われた際に、僧侶は遺骸の供養等考えず真理の追求に専念すべきだ、供養は在家の信者がしてくれる、と答えたとされる。
-wikipedia 葬式仏教より抜粋-
従って、死者を弔うことは教義から外れるので、墓がない。
純粋な仏教と世俗的な仏教との間にあるジレンマ
平安時代にこのような仏教を広めたのが、「聖(ひじり)」と呼ばれる修行僧だった。彼らは寺院に定住せず深山の草庵に住んだり遍歴しながら修行する半僧半俗の存在だった。南都七大寺のような大寺院にいる僧侶から見れば、格好は僧侶に見えるが、純粋な教理や教学については理解してない半端モノに見えたわけだ。しかし彼らは世俗的と言えど、全国を行脚して仏教を広めている実績があった。大寺院の僧侶には、大寺院の中だけで、難解な教えをそのまま説明しても限られた人しか理解できないというジレンマがあった。だから人々に仏教を広めて仏教に貢献しているので、お墓のあるお寺を排除したりはしなかったのだろう。
・参考
葬式仏教 - Wikipedia
末法思想 - Wikipedia
仏教とお墓について教えてください - 最近図書館でチベット仏教(... - Yahoo!知恵袋
お墓の無いお寺はなぜ? - 法隆寺にはお墓が存在していません。 お寺と言え- | OKWAVE
神社の周りにはお墓はないのでしょうか? -お寺の周りには、お墓があり- 歴史学 | 教えて!goo