イケメンで愛想の良い葉蔵は、本当は全部演技で通していた。それが苦しく葛藤し、最後はモルヒネ中毒になって行方不明になってしまう。演技もいつもバレないわけではなく、時折バレる。小学生の時に鉄棒の授業でわざと失敗して、クラスの笑いを取ったけど、病弱で体育を見学していた竹一には「ワザワザ」と言われて、ワザとだと指摘される。葉蔵は驚き、竹一が気になってしょうがない。それから竹一と仲良くしようとするのが面白い。いつ演技であるとみんなにバラさないかと心配だからだ。そんな葉蔵の苦悩が延々と書かれていて面白いと思った。葉蔵の気持ちを葉蔵の人生を通して、ずっと書いているので、葉蔵という人物に集中できて、自分は面白く読めた。
面白く読めたけど、一回読んで終わりという小説ではない気がする。経験を積んで、時間を空けて読み直すと、また違った読み方ができるような気がした。
先日、又吉の「火花」を読んで、又吉の動画を探していろいろ見ていた。又吉、若林、そして作家の町田康、後半は平野啓一郎を読んで、好きな本を紹介するという番組があった。そこで又吉が「人間失格」を薦めていたので、一層読む気になった。この番組は面白いので、第3回もやってほしい。