長回しのオンパレード
監督の意向
この映画は本当にカメラを切り替えない長回しが多い。監督の意向もあって、折角ノリに乗った役者の演技を途中で切るよりも、そのまま持続させることにしたという。
大竹しのぶの演技
役者にはそれだけプレッシャーがかかると思うけど、それに十分耐えているのが大竹しのぶ。狂ったような顔をしたり、報われない恋を楽しむような顔をする。何を考えているのか途中でわからなくなるほどだ。
ドラマ「男女7人夏物語」ではひょうきんさも見せていたけど、本作では通じてシリアスな雰囲気を出している。平野が襲った後に、平野が薄気味悪く笑うのだけど、名美は無表情で2Fのベッドに上がる。襲われる前と後で全然違う表情には驚いた。
元気ですか?!
監督がインタビューでも答えていたけど、ボートの乗り場でのシーンはとても印象に残っている。夕焼けを背景に、ゆらゆらと揺れるボロい乗り場が、先の不安を案じているようだ。でも夫から離れて、平野との時間を過ごせる嬉しさがあるように感じる。
平野がボートに隠れて、名美は平野を見失う。先に行ったのかと思ったら、後ろから平野がこう叫ぶ。
平野「元気ですか?!名美さん!!元気ですか?!」
名美「はいっ!!」
凄まじいことがあった関係なのに、どうしてそんなことが言えるのか。そうと思わせるくらい二人の世界が如実に表れているからすごい。