not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

「SHOE LIFE」を読んだ

星3.9

スニーカーショップatmos創業者が書いた自叙伝。90年代〜現在までのスニーカーシーンのことがよくわかる本だった。最終的に外資に400億円で事業売却している。atmosでスニーカーを何度か買ったことがあるので興味を持って読んだ。

以下メモ

  • 創業者の本明さんかなり気合の入った人。アメリカでスニーカーを輸入して日本で販売したのがスタート。最初はフリーマーケットで古着を売っていたりしたが利益が多いスニーカーに途中で変えた
  • もともと貿易業のサラリーマンをしていたので貿易の基本がわかっている。なので関税とかに詳しい。あと輸入するときに必要な書類を自分で用意することができる。これは専門知識が必要なのでぽっと出のスニーカー輸入屋はできない。ふつうは役所に頼む。これに1日はかかるが自分で用意して提出すれば2時間程度で済む。この時間差が重要で、原宿で一番最初に売れるスニーカーが店頭に並んでいたのでいつも競争に勝っていたらしい。
  • 本明さんは話好きでアメリカに行って現地の人と話しまくる。そこで現地での流行などの重要な情報を手にいれる
  • 昔はネットがなかったので口頭でのコミュニケーションが全て。情報の濃度が濃かった。今はsnsなどに情報が溢れていて濃度が濃い。なのでいっそう対面でのコミュニケーション、実際に人に話を聞くことが重要とのこと
  • 90年代は雑誌の力すごい。雑誌に載ったスニーカーは飛ぶように売れた。なので事前に出版社とスニーカー屋がどういう特集を組むのを話し合っていた。かなり巧妙にマーケティングされていたようだ
  • スニーカーは2010年代くらいまでは日本でしか人気じゃなかった。アメリカでゴミ同然だと思われているスニーカーを買い集めて日本で売っていた。アメリカ人から「そんなものが売れるのか」とよく不思議に思われていたらしい。アメリカでも人気になったのはカニエウエストがナイキからアディダスにスポンサーを乗り換えたことがきっかけ。それを機に世界中でスニーカーが人気になった
  • atmosの前身の店「チャプター」は並行輸入店だったけど最終的にはナイキの正規販売店になり、別注モデルも発売するようになった。別注は今でいうコラボスニーカー。エアマックスの別注モデルは世界的にも評価されている。それをデザインしたのはチャプターの初期社員。
  • 不景気の時はエアフォース1の白が流行る。無難だから。最近服でもモノトーンが流行っているのは不景気だからなのかな。
  • アディダスは売れるスニーカーは売れなくなるなるまで量産しまくる。スタンスミスが流行ったときはカラーバリエーションを増やして量産した。売れなくなると一気に在庫を抱えてしまう。一方でナイキは売れていても生産をやめて新しいものを作る。これによってプレミア値がつきやすくなる
  • 新宿のatmosの店の賃料は月420万円。何度か行ったことのある店だったのでそんなに高いのかと驚いた。
  • 400億円もっていてもタクシーには乗らない。電車やバスに乗り人が履いている靴を見るらしい。

よくなかった点

  • ライバル店のゴミ捨て場に捨ててあった段ボールから仕入れ先を突き止めてアメリカまで行き開拓して行ったらしい。段ボールをそのまま捨てるのはスニーカー屋では御法度らしいが、それを見つけて誇らしく本に書いてあるのがキモかったw