amazonでめちゃくちゃレビュー評価が高かったので読んだ。婚活・恋愛を題材とした小説で若干ミステリー要素も含んでいる話だった。婚活における選ぶ・選ばれるの関係において傲慢に行動する者、ただただ世間知らずで人の言うことを聞きすぎる善良な者が描かれている。
善良を自称する人も紐解いていくと強烈な自己愛を持つのはよくあるパターンで、映画や小説がよく題材にするテーマだけど、この小説はかなり丁寧に人物の心理描写が描かれているので読者の心をエグってくる。ただ悪く言えば説明的で全てが描写やセリフに書かれてある。このへんは作者が大衆向けにチューニングしたのかなと思った。頭を使わずミステリー小説のように一気読みできる小説って感じがした。
読者は少なからず自分の傲慢さや善良さに思い当たる節があり、読んでいて辛くなるシーンもある。特に主人公の架(かける)と自分が同じ考えを持っていたときがあり、それを周りの人が指摘していくというシーンは「人によってそこまで考え方が違うのか!女ってこえー」となりほとんどホラー小説を読んでいる気分となった。
物語の後半ではホラー要素も消えて穏やかな展開が描かれ、ラストも良かった。ラストがホラーだったらどうしようというドキドキしながら読んだ。ホラーじゃなくホッとした。