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プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

子安大輔「ラー油とハイボール」、ストーリーで売ること

ラー油とハイボール―時代の空気は「食」でつかむ (新潮新書)

ラー油とハイボール―時代の空気は「食」でつかむ (新潮新書)

『「お通し」はなぜ必ず通るのか』という新書を聞いたことがあって、その著者に興味を持ち、読んでみた。元博報堂で今は飲食業界のコンサルタントをしている子安さんが、ラー油やハイボールなどのヒット商品を挙げてなぜ売れたのかを解説し、世の中で求められているもの、時代の雰囲気みたいなものを書いている。

ハイボールは二番手を狙った

サントリーのマーケティングが優れていたという点(何が優れていたのかはわからない)に加えてビールの次に何を飲むのかという二番手狙いが功を奏したと筆者は言う。自分はビールを続けて飲むことが多いが、ビール以外というとなると、サワーやカクテルをまず思いつく。それらは甘いし、女っぽいという見方も出来るから少し避けたいという男もいると思う。次に考えられるのが、焼酎や日本酒。これらは後半くらいから飲むイメージがある。ということもあって二番手にちょうど良いというお酒がない。そんなところにハイボールという売り方はうまいと思った。

日本酒や焼酎に付き物であるウンチクは一方的であると煙たがられるという指摘があったが、それもうなずける。ただ自分の周りは長年そういうお酒を飲んできたような通がいないので、ウンチクは聞いてみたい気持ちもある。数年前におきた「焼酎ブーム」というのは自分のような人にヒットしたのだろうと感じた。

ストーリーで売るという常套手段

IT業界のような成長産業でない限り、飲食産業のような業界は成熟しているとよく言われる。そのような中で売るのには商品にまつわるストーリーだったり、共感だったりする。著者はファッションの高級ブランドではストーリーを語るのは常套手段と言っていて、自分は「ココシャネル」という映画を思い出した。

ココ・アヴァン・シャネル 特別版 [DVD]

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シャネルが誕生までを描いた映画だ。これを見て、単なる高級ブランドだったシャネルが身近な物に感じられたし、買わないにしても、高級ブランドに興味を持つようになった。
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ティファニーで朝食を」もティファニーのイメージを想起させる映画だと思う。ジュエリーについてよく知らなくても、ティファニーなら知っているという男もいるのではないだろうか。

朝食のイメージに注目する

朝食の時間帯ではなく、朝食が持つイメージを生かした売り方の紹介もおもしろかった。

朝食を外食するとき、多くの人はコンビニだったり、カフェで軽く済ますことが多い。それに目を付けて夜営業をしている店が朝にも営業して失敗するケースがある。それは店の内装が夜の雰囲気のままで合わなかったり、朝働いてくれる人材を確保することが難しいことだ。

http://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140402/14011661/
そんな中、鎌倉には「世界一の朝食」を出すレストランが好評である。ここはスクランブルエッグにトーストというような朝食の定番を一日中出している。朝食には健康、明るさ、元気、始まり、集中力、充電というような前向きなイメージが強い。それに魅力を感じる人がいるのだ。朝専用「モーニングショット」という缶コーヒーが売れたのにも、同様のイメージを消費者が思い浮かべたからだろう。

著書も言っている通り、朝食を一日中出すのようなずらしの工夫が大切なのかなと思った。そうやってずらしていくなかで初めて、朝食のイメージというのが浮かび上がるのだろう。何かが考えるときはそのような視点を忘れないでおきたい。