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プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

尾原和啓「ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 」

DeepTechの概要と事例がわかる本。DeepTechは基礎研究を背景にそれまでの常識を変えるような技術を指す。また本書ではこれに加えて枯れた技術の転用についてもフォーカスし事例を紹介している。

枯れた技術とはもう需要がない古い技術でありオワコンになった技術だ。しかし日本でオワコンでも東南アジアの新興国では非常に価値のある技術になることもある。新興国の地形、文化、人口増加に対応する際に、意外と日本の枯れた技術が使えたりするそうだ。

また新興国特有の需要も存在する。例えばプロパンガスを軽量化する技術。日本では地下を通じてガスを共有するインフラがあるのでデカいプロパンガスを置く家庭は多くない。しかしインドネシアのような無数の小さな島が密集する国ではインフラを作ることが難しくプロパンガスを使用する。これがめちゃくちゃ重くてコストがかかる。なので島の人はガスを大切に使わなければならない。

そこで京都大学が研究していたプロパンガスを軽量化する技術に注目が浴びた。金属の中にガスを吸着する構造をしているらしい。詳しいことはよくわからないがすごい笑。国内にだけ目を向けても「で?これ何の役に立つの?」と言われるが新興国に目を向けるとものすごい需要がある。

東南アジアの新興国、特にインドネシア、フィリピンにとても興味がわく一冊でした。