not good but great

プログラミング、アート、映画・本の感想について書きます。

「ケーキの切れない非行少年たち」

非行少年(少女)たちがどのように世界を認識しているのかについて書かれた本。少年院にいる少年たちと実際に話す経験をした医師が書いている。

結論としては少年たちは一般の人と比較して認知が歪んでいる場合がある。これは倫理観が欠如しているとかということ以前に、教育がされていないことが原因である。多くの少年たちが小学2年生くらいのときに勉強につまづき、そのまま勉強しなくなるケースが多い。そうすると知識がないし簡単な計算もできないので一般の人がつまづかないところつまづいてしまう。

例えば語彙がとても少ない子供は自分の感情をうまく表現することができない。かろうじて「イライラする」と言う言葉を知っていたときに「人に怒られたときはイライラする」「お腹がすいた時はイライラする」のように感情が動いた時の表現パターンが全部「イライラする」になる。そうなってくると少年の行動の理由を聞いても「イライラしたから」となる。これは大人が聞いたらすぐにキレる子供だと思ってしまうかもしれない。本当は自分の感情を表現できないだけ。少年たちに必要なのは小学校低学年の漢字を覚える、国語の教科書を読むといったことだろう。実際に少年たちは学ぶことが嫌いではないらしい。普通の学校が自分たちのレベルにあっていないので様々な摩擦が生まれうまく学ぶことができないのだという。

本で扱った人たちは非行少年だったが犯罪を犯していない人でも知識が足りないが故に認知が歪んでいる人は結構いるのかもしれない。世の中に向けてサービスを提供する仕事をしている人は自分が世間のスタンダートと考えるのではなくマスの人のことを想像することを忘れてはいけないと思った。